前回は中小企業におけるＤＸ化の目的について少し述べましたが、今回からはより具体的な実施方法等についてお話したいと思います。
　先ず、導入時によくある問題点としては「自社でＩＴ教育を実施しておらず専任人材も不在、経営者のリーダーシップが不十分、業務改善の時間も取れず導入したシステムも使いこなせない」などが挙げられます。中小企業においては、ヒト・モノ・カネの経営資産に限りがありますので、致し方ない部分もあるかと思われます。
　それらの問題点を解決しながら効果的にＤＸ化に取り組む方法としては「経営的視点でＩＴ活用を推進できる専門家が、社内の実務に詳しい従業員と連携しながら業務プロセスの見直し(業務分析やシステム化企画)などを行い、実際のシステム開発はＩＴベンダーに依頼する」という方法が、私自身の実務経験からしても、適切ではないかと考えます。
　ここで一つ、リスク要因として注意が必要なことは、クラウドコンピューティングに関するものです。クラウドコンピューティングとは、インターネットを介してシステムやデータを使用することを指します。ユーザー企業は、パソコンやスマートフォンのみの所有で活用できる形態ですが、全てのものが外部にあるので、運用する際にはセキュリティー(データの紛失・漏洩や外部(国外)貯蔵、システムの稼働率等)に対しての精査が必須となります。